【レポート】クラウドへのシステム移行戦略 Lift & Shift とクラウドネイティブ #AWSSummit

【レポート】クラウドへのシステム移行戦略 Lift & Shift とクラウドネイティブ #AWSSummit

Clock Icon2020.09.10

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しばたです。

現在開催中のAWS Summit Onlineのセッション「AWS-15:クラウドへのシステム移行戦略 Lift & Shift とクラウドネイティブ」の視聴レポートです。

セッション情報

スピーカー

  • アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 シニアアドボケイト 亀田 治伸

概要

システムをクラウド移行する際の手法はいくつか存在していますが、レガシーシステムの移行で最も用いられる手法が Lift & Shift と言われる手法です。その手法の解説を、クラウドネイティブと言われる、クラウドアーキテクチャーに最適化されたアプリケーション構成、との対比でご紹介します。

クラウド移行の動機

セッションは最初にクラウドへ移行する動機についての解説から始まっています。

移行の動機は実際には様々でしょうが、このセッションでは人的リソースの面に着目し(オンプレ環境における)インフラの管理・運用工数をクラウドへ移行することで減らしユーザーにとってより優先度の高い業務に注力できる様になる点に着目しています。

クラウド化のステップ

システムをクラウドに移行する場合、方式としては

  • クラウド上に新規にシステムを開発する
  • 既存のシステムを移行する

の2つありますがこのセッションは後者の方式を選ぶ場合についての解説となります。

AWSの移行戦略 (7R)

システムをAWSに移行する際のパスである所謂7Rについての解説です。
(VMware Cloud on AWSが登場する前は6Rと言われていたやつですね。)

  • リロケート : VMware Cloud on AWS環境にオンプレから仮想マシンを移動(vMotion)
    • この方式のみIPアドレスレンジをオンプレから変えずに移行できる
  • リホスト : オンプレ環境のホストをアーキテクチャを変えずに移行
  • リプラットフォーム : 新しいプラットフォームに切り替えて移行
    • オンプレ環境の商用RDBMSをクラウド移行と同時にOSS RDBMSに切り替えるパターン
  • リパーチェス : クラウド移行にともなうライセンスの買い替え、SaaSへの代替
  • リアーキテクチャ : クラウドに合わせてアーキテクチャを再設計
    • 所謂クラウドネイティブ開発。前節の新規開発に相当
  • リタイヤ : システム統廃合を検討したうえでの廃止
  • リテイン : クラウドに移行しない選択。塩漬け
    • 技術的制約ではなくビジネス的な判断に依る
    • 塩漬けはメンテナンスコストが増え続けるのを考える必要がある

この7Rのうち「リホスト」がLift & Shiftに相当します。
これらのパスについては単純な選択ではなく、最終的にクラウドネイティブなアーキテクチャを目指し段階的に行うものであります。

リホストの対象

続けてリホストの対象となるサービスについての解説となります。

EC2

アーキテクチャを変えずに移行するリホストでは一番最初に選択するサービスはEC2になります。

セッションではEC2のインスタンスタイプ選定基準、テナンシー、BYOLについて解説されていますが、私としてはMicrosoftライセンスのBYOLについてが非常に参考になりました。

上図の表にある様にテナンシー毎による違い、ライセンスの購入時期による違いがあるので注意してください。

以下はセッション中の解説ではなく私個人からの補足になるのですが、テナンシーの違いについては以下の点に着目すると違いが分かりやすいです。

  1. 共有ハードウェア / 専用ハードウェアインスタンス(Dedicated Instance) か Dedicated Host かの違い
    • これは原則としてSPLAの適用範囲か否かでライセンスに差が出ます
  2. 専用ハードウェアインスタンス(Dedicated Instance) か Dedicated Host かの違い
    • 物理ハードウェア占有の有無、物理CPU数を確定可能か否かの差によるライセンスの差が出ます

またライセンスの購入時期による違いについてはその経緯についてブログを書いてますので参考にしてください。

https://dev.classmethod.jp/articles/microsoft-updated-licensing-rights-for-dedicated-cloud/

各種マネージドサービス

AWSには多くのマネージドサービスがあり運用負荷を減らすことが可能なため、EC2への移行と並行して各種マネージドサービスへの移行を検討する必要があります。

セッションではマネージドサービス例として

  • Amazon RDS
  • Amazon FSx for Windows File Server

について基本的な解説がされました。

AWSの移行支援サービス

最後にAWSが提供する移行支援サービスについて触れられ、

セッションでは

  • AWS Server Migration Service (SMS)
  • AWS Database Migration Service (DMS) + AWS Schema Conversion Tool

についての基本的な解説がされて終了となりました。

所感

以上となります。
30分のショートセッションのなかでクラウドへ移行する目的と動機、Lift & ShiftのLiftの要点となる部分をわかりやすく解説している非常に良い内容でした。

2020年現在においてもオンプレからAWSへの移行を検討している方はまだまだ多いでしょう。
まずはこちらのセッションをご覧いただき基本を学んでいただくのがと良いと思います。

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